八ヶ岳便り

岳人志願

投稿日:2011年7月15日 更新日:

 

若い女性の登山が脚光を浴びています。
専門誌も随分出ているようですね。
でもその割にはいわゆる「山ガール」が大挙して歩いているシーンにはあまりお目にかかりません。
最も私の活動範囲がどちらかというと地味な山域なので、彼女達には人気がないということかもしれませんね。
高尾山や富士山、唐松岳等では文字通り百花繚乱といった光景が見られるんでしょうか。

ということで「山ガール」とは無縁な日々ですが、先日は岳人志望の青年達を八ヶ岳に案内する機会がありました。
登場したのは全員10代の三人。フレッシュ盛りのイケメンです。

 

若さだけが取り柄です。(そんなことないって?)

今回は硫黄岳~横岳~赤岳~阿弥陀岳の八ヶ岳主稜縦走を目指します。

快晴の中、美濃戸からの出発でしたが、車を降りた途端まつわりつくアブの大群。
早くも数カ所ずつ刺され、一泊二日の大縦走初日の手痛い洗礼となりました。

高度を上げるにつれアブの猛攻も治まり、無事赤岳鉱泉着。休憩後硫黄の登りにかかります。
赤岩の頭手前まで来ると突然開ける大展望。
澄み切った大気越しに赤岳を中心とした山稜が緑も鮮やかに展開する光景に感動の声も谺するようでした。

 

赤岩の頭からの赤岳遠望。

硫黄の爆裂火口前でジャンプ写真を撮った後はコマクサを求めて一気に大弛みへ下ります。
ここまでいつものツアーペースとは違いほぼこちらのペースで歩ける爽快感は同行者が青年ならではの醍醐味ですね。

咲き始めたコマクサ。

コマクサはまだ少し早い感じでしたが、咲き始めの新鮮さが漂い、見飽きることがありません。
他にもミヤマシオガマ、オヤマノエンドウ、ウルップソウ、ミヤマキンバイ、チョウノスケソウ、ヤツガタケスミレ、イワヒゲ、イワウメ、ミヤマダイコンソウ、クモマナズナ、ミヤマタメツケバナ、ツガザクラ、コケモモ、ハクサンイチゲ、ハクサンチドリ、ミヤマオダマキなども目立ちました。
硫黄から横岳の稜線はまさに高山植物のプロムナードですね。

オヤマノエンドウ。

タカネスミレ。八ヶ岳ではヤツガタケスミレ。

ミヤマシオガマ。芹葉の細かい切れ込みが特長。

円形の花弁が奇麗なチョウノスケソウ。光線がいいですね。 午後からの雷雨を予想する今朝の天気予報でしたが、空はあくまで晴れ渡っています。
明日のことも考え、宿泊は少し無理をして赤岳天望荘にしました。
眼前に聳える赤岳の主峰を眺めながらの稜線歩きは快適の一言。
天候、展望、花とちょっと無いくらいの好条件に青年達も所々のピークで取る休憩にも中々腰を上げようとはしません。
それでもそれなりの緊張をうながし、横岳の岩稜を通過して無事展望荘に到着した頃には、大気も少し冷え冷えとして、心地よい夕暮れが近づきつつありました。
丁度茅野方面の上空には雷雲が掛かり、盛んに夕立している様子を高みから眺めることも日常には無い経験だったでしょう。

鎖場の通過。

赤岳が迫る。

翌日も雲ひとつない快晴の内に明けました。
ご来光を拝み、くっきりと浮かび上がった順光の山稜を飽くまで眺めます。
槍や剣の勇姿も遠望できる程です

夜明け。

蓼科のコントラスト。

この日は昨日までのアプローチ中心の山行とは異なり、まずは最高峰の赤岳登頂。そして難関の阿弥陀岳の登下降が待っています。

赤岳山頂の眺望も素晴らしいものでした。
ここでも中々動こうとせず、降りたくないなどと言い出す始末。\nまったく世間的しがらみの無い若さには勝てませんね。
ここでは新緑に覆われた権現が印象的でした。

山頂にて。

雲海に浮かぶ富士。

緑に染まる権現と奥には白根三山、甲斐駒、仙丈。

ようやく説き伏せ赤岳を下ります。
岩場の下りで緊張を強いたせいかさすがの青年達にも疲れが見え始めますが、難関の阿弥陀はこれから、容赦は禁物です。
そそり立つ阿弥陀のルートは「岩登り練習」と称してダイレクトに登らせ、全く鬼教官さながらです。

それでも若さを武器に難なく登頂。山頂では荷揚げのヘリに大喜びしたり、青年とはいえこの辺まだ子供ですね。
ここでは最後のピークということもあってゆっくりと過ごしました。
青年達は降りたくない様子ですが、大人には大人の浮き世の義理やしがらみが優先する世界があります。リーダー権限を行使し強引に下山です。

それにしても下降路に取った御小屋尾根上部は崩壊が進み悪いですね。
転落と落石には呉々も注意が必要です。
ここだけは慎重に下り、徐々にます熱気の中を歩いて、不動清水の冷水に辿り着いた時には本当に救われた気がする程でした。
また嬉しいことに尾根上ではリンネソウにも再会できました

リンネソウ。輪廻草ではなくて、スエーデンのリンネが愛したことにちなんで名付けられた。
草本ではなく木本類。

美濃戸へのトラバース道でのアブの猛攻を何とかしのいで丁度昼に駐車場着。

最高の天候に恵まれた今回の山行。相変わらずの熱帯気候の中を帰途に付く青年達の胸中には何が残ったのでしょうか。

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