ガイド日誌

春まだ浅き分水嶺

投稿日:2012年5月11日 更新日:

先日は入笠山から続く穏やかな連稜の山々をご案内しました。

程久保山、釜無山は花の名山として6月のスズランの時期にはマイカー規制も敷かれる有名な入笠山から、鋸岳の最北端の横岳に連なる標高2000mを前後する長い連嶺上のそれぞれ目立たないピークです。
入笠湿原程ではありませんが、花の時期にはそれなりに賑わう大阿原湿原の駐車場からは終始カラマツ林の中を進みます。
下界では既に新緑もその色を濃くして春から初夏へと急速に移行しているこの時期、この辺りではようやくカラマツの枝先に淡黄色の点描が印されたばかり。
ウグイスの声が谺する春霞の空を透かして灰褐色から段階的に赤みを増した枝が交錯し、所々にサルオガセの地衣を風になびかせていました。

程久保山の何の変哲も無いピークを過ぎると笹原を分けながらのゆるやかな登高となります。
足の踏み場もない程の鹿の糞と食害されたシラビソやトウヒ、カラマツが目立ちます。
確実に増加しているであろうその張本人は至る所に痕跡を残しながらなぜか一度もその姿を見せてはくれませんでした。

本日のご褒美。
途中の西側が開けた笹原からは中央アルプスの連嶺が少し霞んだ姿を現しました。
未だ多くの残雪を纏い、厳冬期の姿さながらです。\n花の楽園千畳敷カールも今はまだ厚い雪の底に横たわっているのでしょう。

辿り着いた釜無山の山頂はカラマツ林と笹原の境界に位置し、相変わらずの景色の中にありますが、たおやかに広がる蓼科山の稜線と車山の丘が遠望される静かな平地となっていました。

平日とはいえすれ違う登山者の全くいない静でゆったりとした山旅。
少々の藪漕ぎは強いられても、名も無いピークを目指す者のみが味わえる山の醍醐味です。

やがて遠く横たわる高山に雪の縞が谷を埋めて現れる頃、この少々退屈な2000mの稜線にも間違いなく春が駆け足でやってくることでしょう。

カラマツの針葉が顔を覗かせました。

程久保山ピークにて。

朽ちた道標が所々に。

視線の先には。

こんな風景が。

立派な山頂標識。

三等でした。

祝到達。

帰途には八ケ岳も。この角度は貴重です。

ヒメイチゲ咲く湿原で。

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